みなさま、こんにちは！

神戸ファッション美術館が毎年お届けしている「服飾文化セミナー」、

第1回「実物で読み解くキャロ姉妹店の服」を7月27日（土）に開催いたしました。
 
このセミナーは、当館が所蔵する貴重なコレクションを間近でご覧いただける講座で

ファッションを学ばれている方、興味がある方に人気の高いセミナーです。

 

 

今回取り上げたキャロ姉妹店（Callot Sœurs）は、

ベル・エポックのパリ・モードを代表するメゾンの一つです。
 
フランス生まれでロシア系の骨董商の三姉妹であるマリー、マルジェ、レジーナにより

1895 年に開店。レース、シフォンなどの薄い生地に大胆な図柄のビーズ刺繍を

豪華に施した作品を得意とし人気を博しました。
 
20 世紀初頭のオートクチュール界を華やかに彩り

ロンドンとニューヨークにも支店があったキャロ姉妹店ですが、

メゾンは1937年に閉店となりました……。

 

 

当館ではキャロ姉妹店のイブニング・ドレスを何着も所蔵。

セミナールームで、女性なら一度は着てみたいと思われる

素晴らしいドレスを披露させていただきました。
 
学芸員の浜田さんが、キャロ姉妹が活躍した当時の歴史背景を、

大山さんがドレスのデザインや縫製技術などについて丁寧に解説。
 
チーフデザイナーを務めたのは長女のマリー・ベルジュールで、

ベル・エポック全盛の頃、シャネル（1920年デビュー）よりも支持を集め、

8大メゾンに数えられたときもあったとか。

 

 

ドレスは長い裾をひきずるS字型シルエットが特長で、

上質な素材に、手の込んだ刺繍やビジューを施し

流行のスタイルを吟味しながら作品のクオリティをあげていくメゾンだったそうです。
 
「誰にも真似できない発想とデリカシーのある仕上げがキャロ姉妹店のスタイル」と

称賛された、まさに伝説のメゾンと言えます。
 
パリの本店のほかに、ロンドン、ニューヨークにも支店があり、

映画女優や上流階級の女性たちが顧客でした。

 

 

そんな時代を映し出したフランスのファッション雑誌「ガゼット・デュ・ボントン」の

ファッションプレート「コート・ダジュール　テラスでのパーティー」も展示。
 
この雑誌は1912年創刊で、「コート・ダジュール」のパーティーの様子は、1915年夏頃のこと。

約1世紀前の夏の宵、美しい避暑地で開かれたパーティーに集う女性たちのうち

3人がキャロ姉妹店のドレスを身につけていたことを、同誌は伝えています。
 
〝実物で読み解く“というキャッチフレーズ通り、

超絶技巧でありながら、とてもロマンチックでスイート、

儚くも美しいメゾンの運命とリンクするような実物のドレスを

参加者のみなさんは熱い眼差しでご覧になっていました。

 

 

開催中の展覧会夏休み特別企画展「Flowers モードに咲く花」では、

「歴史モードに咲く花」コーナーの奥に、

贅を尽くした繊細なビーズ刺繍が施された「イブニング・ドレス」が展示されています。
 
このモードには、どんな花が咲いているのか、

ぜひ、ぜひ、展示室の中、間近なところでご覧ください。

 

なお、今年度の服飾文化セミナーは、下記のスケジュールとなります。
 
・第2回「実物で読み解くクリノリン・スタイルの服」

　　2019年12月14日（土）　14:00～16:00

・第3回「実物で読み解くランヴァンの服」

　　2020年2月22日（土）　14:00～16:00
 
衣装の製作の背景やデザインの特徴、構造などを、詳しい解説とともにご紹介します。

 

●お申し込み方法

電話または、E-mailに名前（ふりがな）・住所・年齢・ご連絡先（当日連絡がつく電話番号）・

参加希望のセミナー名を明記の上、お申し込みください。

TEL：078-858-0050

E-mail：workshop@fashionmuseum.or.jp

 

みなさまのご参加を、お待ちしております。