2020.7.31 セミナー
[服飾文化セミナー] 7/18(土)第1回「実物で読み解く バスル・スタイルの服」を開催しました
みなさま、こんにちは!
神戸ファッション美術館が毎年お届けしている「服飾文化セミナー」、
第1回「実物で読み解くバスル・スタイルの服」 を7月18日(土)に開催いたしました。
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、定員を40名に縮小して開催しましたが、
おかげをもちまして、満席のにぎわいとなりました。
ご参加のみなさまには、検温やマスク着用にご協力いただき、ありがとうございました。
当館では、29点のバスル・スタイルのドレスを所蔵していますが、
当日は、そのうち12点のドレスをマネキンとともにご披露。
ズラリと並んだ約150年前の優雅なドレスとともにみなさまをお迎えしました。
さて、バスル・スタイルとは1870-80年頃に流行した、
後ろ腰のふくらみを強調するスタイルのこと。
腰の後ろ部分にボリュームを出すための腰当てが「バスル」で、
さまざまな材質で作られました。
流行としては短い期間でしたが、年代が進むにつれ、
ウエストラインが下がり、ふくらみも変化したとか。
この少しアバンギャルドな印象のバスルドレスを
コレクション修復担当の大山弘美学芸員の解説でクローズアップしてみましょう。
「こちらは1876年頃にイギリスで着用されたアフタヌーン・ドレス。
白×赤紫のシルクファイユ地とサテン地に、
スカラップのデザインが採用され、モダンで個性的な印象です」
「ちょうど後ろから見ると、なんとシンメトリーなデザイン。
背中と両脇には、スリットが入っています。
長いトレーンが特徴的なスカートは、たくさんのひだが丁寧に作られています」
「さらに細かいところを見ていくと、カフスにはオーガンジーのシャーリングが縫い付けられており、
ボタンの刺繍もとてもかわいらしく、凝ったデザインですね」
ちなみに、大山学芸員のドレスチェックでの楽しみは「ポケットを探すこと」。
意外なところにポケットがついているそうです。
一方、バスル・スタイルを歴史的に紐解いたのは、
現在開催中の特別展「Treasures of Fashion ヴァレリー・スティールの審美眼」担当の中村圭美学芸員。
女性の地位向上とともにドレス、特にウエストラインが大きく変化しますが、
このバスル・スタイルの場合、コルセットとバスルとで、とても窮屈に見えます。
「でも、当時の女性は夫に守られる存在で、働くことは悪だと考えられました。
動きにくいことは問題とされていなかったんですね」と中村学芸員。
ちなみに、バスル・スタイルのドレスは多くの芸術作品に登場しています。
小説では
・エミール・ゾラ「ナナ」
・三島由紀夫「鹿鳴館」
絵画では
・モネ「散歩・日傘をさす女」
・ルノワール「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」
・スーラ「グランド・ジャット島の日曜日の午後」
・ペロー「ブーローニュの森でのサイクリングと山小屋」
などなど。バスル・ドレスファンのみなさま、チェックしてみてくださいね。
最後に、みなさまからいただいたアンケートから、感想をご紹介いたします。
●ドレスそれぞれの解説がおもしろかった。また、バッスル・スタイルのドレスが
どういう仕組みになっているのかずっと気になっていたので、上・下がどういう
ふうに留められて切られていたのか知れて良かった。(大阪市・20代・女性)
●歴史時代背景からファッションへのつながりがあり、理解でき、おもしろかった。
やはり実物があるので、単にお話を聞くよりもよりおもしろく感じました。
(大阪市・30代・女性)
●展覧会の関連箇所などが知れてよかったです。ドレスの裏側など、
普段見ることのできない縫い方や袖のつけ方など、違った視点でとらえることが
できてよかったです。(姫路市・30代・女性)
ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!
今後の服飾セミナーは、ただいまお申し込みを受け付けております。
第2回「実物で読み解くヴィオネの服」/9月26日(土)14:00~16:00
第3回「実物で読み解くボディ・コンシャスの服」/12月12日(土)14:00~16:00
●お申し込み方法
電話またはE-mailにて、下記を明記の上、お申し込みください:
①名前(ふりがな)②年齢(大学生・65歳以上の方はその旨)
③ご連絡先 ④参加希望のセミナー名
TEL:078-858-0050
E-mail:workshop@fashionmuseum.or.jp
なお、開催中の特別展「Treasures of Fashion ヴァレリー・スティールの審美眼」では
第3章 「日本と西洋のファッション」コーナーにて、バスル・スタイルのドレスも展示しています。
●8/30日(日)まで開催中!
特別展「Treasures of Fashion ヴァレリー・スティールの審美眼」
入館料:一般1,000(800)円、
大学生・65歳以上500(400)円、高校生以下無料
休館日:月曜、8/11(火)
※8/10(月・祝)は開館