この「日展神戸展」の魅力をお伝えするため、神戸市立小磯記念美術館・神戸ゆかりの美術館の岡館長が
展示作品を解説するシリーズ第四回は、彫刻部門より九後稔氏の作品です。
 
『明日を奏でる』九後稔（彫刻・日展会員）　
 
薄物をまとった乙女が心を集中させて竪琴を奏でている。
作者は「困難の多い時代、先の見えない不安を感じる。どんな明日が待ち受けているのだろう。
明るい未来であって欲しいと願う」という切実な言葉を作品に寄せている。
完全には終息の見えないコロナと、痛ましい戦争は今を生きる芸術家たちに濃い影を落としている。
近年の日展出品作に平和と安寧を祈る主題のいかに多いことか。
乙女の姿態と表情に雅やかな理想化が見られ、姿態と琴の弓なりのフォルムが共鳴しあう。
混迷をきわめる現実の世相を乙女が奏でる音楽によって浄化しようとしているかのようにも感じ取れる。
暗闇からの解放の願いがこめられている。
（神戸市立小磯記念美術館・神戸ゆかりの美術館 館長 岡泰正）
 

 
◆特別展「第9回日展神戸展」
2023年2月18日（土）～3月26日（日）
開館時間：10:00～17:00（入館は16:30まで）
休 館 日：月曜日
入 場 料：一般 1,200円（1,000円） / 大学生・65歳以上 600円（500円） / 高校生以下 無料
※（　）内は20名以上の団体割引料金